片恋 緒方→ヒカル

 

 

どうしてだかいつも俺の視線の先にいるんだよな。

 

少年が青年になり、子供の成長は早いもんだ。

全体の髪とは色素の違う前髪が特徴的だな。

あんな可愛い顔してのし上がってくる強さがいい。

からかうとむきになる素直さが気に入っている。

 

時折見せる切なく寂しそうな表情は誰を思ってのことなのか。

きっと情緒不安定になる四月の終りから五月の初めの時期と関係あるんだろう。

あいつと知り合ってもう何年にもなるが、それについては俺は何も聞かない。

あいつが話さないのだから聞けるわけもない。

あいつは他人に甘えようとはしないしな。

 

俺に甘えろとまでは言わないが、頼ってもらいたいという思いはある。

だから、見かけるとついついかまいたくなるんだ。

反応が素直で可愛いんだ。

あいつが寄りかかってきたら俺は支えてやるんだがな。

 

素直に俺の腕に飛び込んでくればいいものを何を思い込んでるんだか。

 

俺を見て嫌そうな顔するなよ。

俺はお前に会えて嬉しいんだぞ。

それを隠さず見つめているのにそらされると少なからずショックも受けたりするんだぞ。

だけどお前の頬が仄かに紅いのを俺は見逃すつもりはない。

 

俺は碁打ちとしてお前をかってる。

俺はお前の頭を撫でるのが好きだ。

 

俺はお前をかまいたいんだよ。

 

 

 

だから

 

 

 

 

 

だから、ほら

 

 

 

 

曖昧な態度は止めて俺を受け入れればいいだけのことだろう。

 

俺にとって進藤は愛しい存在なんだ。

 

 

終了