存在 ヒカル独白

 

佐為がいなくなってもう何年になるんだろう。

 

碁を打つ度に佐為に会える。

だけど、打たないと佐為を感じない。

だから、俺は碁を打つ。

お前に、佐為に・・・佐為を感じるために。

 

俺、碁好きだよ。

あのギリギリの勝負の中の緊張感が好きだ。

それに、あの独特の雰囲気も好きだ。

誰にも考えつかない道を見つける瞬間も好きだ。

強い奴と向かい合って自分の力をぶつけるのも好きだ。

 

佐為が碁を好きにさせてくれたんだ。

 

佐為が俺に碁の楽しさを教えてくれた。

 

なぁ、佐為。

俺結構勝ってるんだ。

だけど、強いとは思わない。

 

俺よりも強い奴なんて沢山いるのに『俺は強い』なんて言えないだろ?

 

だけど、負けたくない気持ちは誰にも負けない。

 

佐為に近づきたい。

もっと、近づきたいんだ。

 

『神の一手』

 

それに近づくために俺は、まだ碁を続けている。

 

 

佐為、

 

 

俺は、お前に近づけているだろうか?

 

 

 

終了