素足 緒方×ヒカル
窓を全開にして扇風機が静かに首を振っている。
「おい、進藤。」
ペラペラと本のページを捲りながら緒方がヒカルに声をかける。
「俺は、暑いんだが。」
「え〜、俺も暑い。」
ヒカルの言葉に少しばかり緒方の米噛みがピシッと音と立てた。
「お前、言葉と行動が矛盾してるぞ。」
「だって、緒方先生って体温低くて気持ち良いからさ。」
緒方の足にヒカルの素足が絡められている。
「俺が暑いんだ。そうでなくともお前は体温が高いんだぞ。」
「む〜、それって子供って言ってない。」
「お前は、子供だろうが。」
「その子供に手ぇ出してるくせに。」
緒方に聞こえないようにヒカルは、ボソッと呟いた。
ちゃんと聞こえていた緒方だったがそれを聞き流し言葉を続ける。
「暑いんだったら、エアコンつけろ。」
「やだ。」
ヒカルは、緒方の肩に頭を乗せピッタリと身体を緒方にくっ付けた。
「暑いんだろうが。」
「だって、いつもガンガンに冷えた所にいるんだからさ。」
二人が碁を打つ場所は、いつもかなり冷えているのだ。
「たまには、ちゃんと汗かかないといけないかなって。」
緒方は、静かに読んでいた本を閉じた。
「お前、俺に相手にしてもらえなくて拗ねてるだろ。」
緒方の言葉にヒカルは、瞬時に頬に朱を走らせた。
「なっ、んなわけないだろ。」
プイッと顔を背ける辺りバレバレだ。
実際、ヒカルは拗ねていた。
緒方が、せっかく休みが重なったのに本ばかり読んでいたからだ。
「お前は、寂しがり屋だな。」
チュウっと緒方は、ヒカルの目尻に唇を落とした。
「暑いから嫌だ。」
「もっと汗かかせてやるよ。」
ヒカルが身体を捻っても、もう、緒方の手はヒカルの服の中だ。
―――ぶ〜っん
扇風機の音と淫らな声と音が静かに響いていた。
終了