雷鳴 緒方×ヒカル
「ん・・・」
ヒカルが目を覚まして身を捩ろうとした。
が、それは無理だった。
しっかりと緒方に抱き締めらヒカルは、動けないでいたからだ。
――――― ザァ〜
『雨?』
――――― ゴロゴロゴロ
『雷も鳴ってる。』
ヒカルがチラッとカーテンの閉められた窓を見た。
『すごっ。』
一瞬にして明るくなったと思えば、また暗くなった。
激しい雨音に雷鳴がヒカルの耳に響く。
「どうした?」
静かにだけど妙に鮮明に耳元で囁かれヒカルは、身体をピクリと揺らす。
「ん・・・雷と雨がすごいなって。」
「あぁ、途中から降り始めてたな。」
「そうなんだ。全然気がつかなかった。」
「そりゃあんだけ乱れてりゃそうだろうな。」
緒方がまだ眠そうな顔でニヤリと笑った。
その言葉の意味をヒカルは、暫くして理解した。
そして一瞬にして顔を真っ赤にさせた。
――――― ゴロゴロゴロ
部屋の中まで明るくする光は、そんなヒカルを緒方に晒す。
緒方は、クスリと笑ってヒカルの額に唇を落とした。
ヒカルは、そのまま緒方の胸に顔を埋める。
ヒカルは、いつも緒方に翻弄されてしまう。
乱れて鳴いて周りの音が聞こえなくなり緒方の声だけが鮮明にヒカルの耳に響くのだ。
「ほら、まだ時間はある。寝ろ。」
緒方は、ヒカルの顔中に唇を落としながら背中を撫でていた。
「ん・・・うん。」
ヒカルの耳には、緒方の鼓動と声だけが響き自然と瞼が降りてきた。
外では、雷雨が激しくせめぎ合っているにも関わらず二人にはもうその音は聞こえていない。
再度眠りに落ちたヒカルを抱き締め直し緒方もまた眠りに落ちた。
終了