どんとこい 9
ナルトは、自分専用のヒヨコ柄のエプロンとつけて台所に立っていた。
「「で、どういうことなんだ。」」
シカマルとシノの声が同時に重なった。
二人は視線を外しハァ〜っと大きな溜息を吐いた。
そして、いきなり片手を勢いよく二人とも差し出した。
シカマルがチョキでシノがパーだった。
「ちっ。」
シノは、おもわず舌打ちをした。これは、幼稚園の時の決着のつけ方だった。
「俺からの質問な。なんでナルトは記憶が無い?」
「・・・俺も詳しくは知らんが・・・」
ナルトの父は、学者で引っ越した先ではその地に育つ植物を調べていた。
「ナルト君!」
父が叫んで駈け寄った時には、木になっていた実がフュ〜っと落ちてきてナルトの頭上に激突した。
そして、ナルトが起きた時には記憶が飛んでいたそうだ。
しかも、不思議な事に幼稚園ごとに関してのみの記憶がなかったのだ。
「まぁ、いいか。ナルト君が無事だし。」
父は、自分は忘れられていなかったのでそんな深く考えず記憶ないままでナルトを育てたのである。
「あの人らしいっといやあの人らしいな。」
シカマルが顔を歪ませながら天井を仰いだ。
シカマルに記憶にあるナルト父は、かなりの親馬鹿だった。
「で、シカマル。」
「あんだよ。」
「なぜ、お前はナルトと兄弟になっている。」
「あ〜・・・親父とナルト母が再婚したから。」
事実をそのままに告げるシカマルにシノは怪訝な眸を向けた。
「なぜいない。」
シノは、なぜ二人暮し状態になっているのかを聞いていた。
「親父が異国の地に転勤になったからだけど。」
「手をまわしただろう。」
それは、本当だった。
シカマルは、もうすでに大学卒業のところまできている。
ていうかもう卒業していてもおかしくないのだが大学側から研究室に残ってくれと頭を下げられたのだ。
そこでいろいろな企業のトップに顔が効く訳で、その企業の中に父の勤める企業もあったというわけで。
「親父にしか出来ない仕事らしくてな。」
白々しく答えるシカマルに詰め寄ろうとしたシノだったがナルトの言葉で遮られた。
「出来たってばよ。」
二人が同時に振り向けばナルトがお玉を持って可愛らしくこちらの部屋を覗いていた。
続
平成16年11月15日