雪だるま イタチ×ナルト
日の出前の真っ白に広がる世界の中に小さな灯火が存在していた。
地平線に光が走ってもその灯火の存在はそこに在る。
まるで寂しさを紛らわすかの如く何体も何体も同じ物をその手で作り出す。
手袋のしていない手で真っ白な雪に触れる。
もう、これで何体目だろう。
寸分違わない雪だるまたちが小さな灯火を囲んでいく。
後、一体で本当に灯火の周りが囲まれるその時だ。
「手袋をしろと言っただろう。」
最後の雪だるまが置かれる場所に大きな灯火が存在していた。
真っ白な世界の中に真っ黒な存在。
小さな灯火は、大きな灯火である真っ黒な存在をジッと見てニィっと笑った。
そして、最後の雪だるまを手に抱えその存在に近づく。
小さな灯火がその場に来ると大きな灯火はソッとその場を離れる。
「完成だってば。」
雪だるまたちに囲まれる小さな灯火と大きな灯火。
「こんなことになんの意味がある。」
雪だるまたちを見渡し大きな灯火がソッと小さな灯火の頬に触れた。
「真っ白な世界に囲まれると自分も真っ白になれるような気がするってばよ。」
大きな灯火の手に頬を摺り寄せ小さな灯火は眸を閉じた。
「ナルト。」
大きな灯火は、ナルトを自分の胸に抱き真っ黒なマントで覆った。
「イタチさんってば温かい。」
真っ黒なマントに覆われても白い存在のナルトにイタチの顔が歪む。
「こんな里など捨ててしまえ。」
イタチの言葉にナルトは、閉じていた眸をゆっくりと開ける。
そこから一望出来る里がナルトの眸に映し出される。
「・・・ごめんってば、イタチさん。」
あなたの傍にいられなくてごめんなさい。
あなたについていけなくてごめんなさい。
イタチは、禍々しい眸で里を見下ろした。
「いつか必ずもらっていくよ。」
―――― ポッ・ポッ・ポッ
雪だるまに火が灯り、静かにゆっくりと溶けていく。
終了