存在 シカマル×ナルト
時折、ナルトは自分がいない方が良いんじゃないとかと思う時がある。
下忍になって自分を認めてくれる人が増えている今もだ。
なんで?
どうして?
幼い頃に植え付けられた考え方がそう簡単に変るわけがない。
自分を見る里人の目がそう簡単に変るわけがない。
そんなことは、わかっていたこと。
ナルトは、頑張るしかないのだ。
「意味がないわけないだろ。」
ナルトの存在を『意味がない』と笑う輩にそう投げ捨てたのはシカマルだ。
「お前も一々真面目に受け取るな。」
そして、ゴツンとナルトの頭を軽く叩く。
だって、俺がいなくても皆困らないってばよ。
再度拳骨がナルトの頭に落ちてくる。
先刻よりも少し強めだ。
「そんなことは、お前が決めることじゃない。」
そう、決めることではないのだ。
「どんな理由があったって今ここに在るってことは『意味』があるんだ。」
本当?
シカマルは、頭をポリポリと掻きながら元気なく首を傾げるナルトに近づく。
そして、流れ往く雲に向けていた視線をナルトに向けた。
「俺は、お前が此処にいてくれて良かったと思ってんぞ。」
そう言ってすぐまた流れ往く雲に視線を戻した。
ナルトの眸には、耳まで紅くさせ照れているシカマルが映っている。
俺ってば、いてもいいの?
シカマルの言葉が嬉しくてまた頑張れるような気がして再度問いかける。
「あぁ。」
面倒くさそうにだけど、はっきりとシカマルは応えた。
だから、ナルトはまた頑張ろうと思えた。
誰にも認められなくてもシカマルが認めてくれるならいいか、と思えた。
そっかぁ。
俺ってば、ちょっと嬉しい。
ちょっとかよ、とシカマルが舌打ちをした・・・ような気がする。
本当は、ものすごく嬉しいってばよ。
終了