雷鳴 イタチ×ナルト
――――― ゴロゴロゴロ
ナルトは、両手に顎を乗せて窓から外を眺めていた。
遠くの山の頂上は、どす黒い雲で覆われ時折稲光が見えた。
――――― ポツポツポツ・・・ザァ―
窓に小さな水滴がついたかと思うと一気に降り出した。
――――― ゴロゴロゴロ
遠くでは雷鳴が響き、眩いまでの明るさが一瞬にして輝き消える。
雷鳴が雨を連れて来た。
「ナルト。」
名を呼ばれてもナルトは、振り返らない。
気配がナルトの背後に近づきそのままナルトを抱き締める。
「綺麗だね。」
ナルトの視線は、輝いては消える光から外されない。
自分の方に向いてくれない寂しさからナルトを抱き締める腕を強めナルトの肩に顔を埋める。
静かな時間の流れの中で雨音と雷鳴が妙に心地良く耳に響く。
ナルトは、コツンと頭を肩に乗っている頭にあてた。
「どうしたの、イタチさん?」
ナルトの問いかけになにも答えずイタチは、更に腕の力を強めた。
ギュウッと、それはナルトをどこにも行かせないかの如く抱き締めた。
ナルトは、それを心地良く受け止めている。
「俺は、どこにも行かないよ。行ってしまうのはイタチさんでしょう。」
雷鳴が雨を連れて来て、そしてまた、雷鳴が雨を連れて行ってしまう。
ナルトが、イタチの手に自分の手を重ねギュッとイタチの手を握った。
「イタチさん。」
――――― ゴロゴロゴロ・・・・ザァ―
このまま雨が降り続けて二人を隠してしまえばいい。
このまま雷鳴が鳴り続けて二人の鼓動だけが確かめ合えればいい。
だけど、やっぱり雷鳴が雨を連れて行ってしまった。
終了