音のない森 8

 

 

そしてまた歩き出そう 先はまだ果てなく永い

僕たちはまだ森の中 抜け出そう 陽のあたる場所へ

 

 

ナルトとシノは、一緒にいることが多くなった。

それでも、時々ナルトはあの森にいる。

それは、シノを遠のけているわけではない。

ただ少し、陽のあたる場所にいることが躊躇われるだけなのだ。

「シノは、蟲たちが好き?」

「ずっと一緒にいるからな。好きというかそれが当たり前だ。」

シノにその当たり前を気づかせたのはナルトだ。

だが、ナルトにそんな自覚はない。

「そっか。」

「あぁ。」

ナルトは、シノにもたれかかりながら自分のお腹を擦った。

シノは、まだナルトのお腹に封じ込められし『モノ』を知らない。

ナルトは、シノに言う気はない。

きっと、シノは知っていてもナルトから言われるまで何も言わないだろう。

だから、まだシノはなにも知らないのである。

ナルトは、それでいいと思っている。

「シノ。」

「なんだ。」

「先は永いね。」

ナルトは、立ち上がり真っ直ぐ永く続く先を見据える。

シノもそちらに目を移した。

どこまで伸びるその先の向こうには何が待っているのだろう。

「俺は、もう歩き出した方がいいのかな。」

「ならば、俺も一緒に歩き出そう。」

「いつか森を抜け出せる日が来る?」

「あぁ。」

「陽のあたる場所に出れるかな?」

「あぁ。」

シノは、果てなく続く先の向こうまでも一緒にいるのだと囁く。

ナルトは、嬉しそうに頷いた。

「だから、ナルト。」

「ん?」

「もっと、俺に甘えろ。」

ナルトは、シノ言葉に頬を緩ませシノの腕にギュウッと抱きついた。

「俺を一人にしない?」

「当然だろう。」

「なにがあっても?」

「あぁ。」

「俺が俺じゃなくなっても?」

「ナルトはナルトだ。」

「俺がシノのことわからなくなっても?」

「わからなくなるのか?」

「どうなるか、わからないだろ。」

「ナルトはどうして欲しい?」

「その時は、シノに殺されたい。」

「承諾した。俺はお前に殺され、俺はお前を殺そう。」

「いいね、それ。なんか嬉しい。」

ナルトは、もう一人に戻れない。

「うん。なら、俺もシノを一人にしない。」

「あぁ。」

そうして、二人は果てなく永いその先に向って歩き始めた。

 

 

 

 

はい、バカップルの誕生です:笑

シノはナルトの全てを受け止めます。

そして、ナルトはシノに絶対的な信頼を寄せます。

会話が少なくても通じ合っているのです。

そんなシノナルが大好きです。

 

この話の二人の結末がどうなるかは考えていません。

だけど、きっと幸せな『死』を迎えるのだと思います。