膝枕

 

 

ポカポカと温かい陽気の中、ルフィはチョッパーを抱いてお昼寝をしていた。

「ん〜・・・んに・・・」

チョッパーをギュウッと抱いて、それはもう気持ち良さそうに眠っていた。

チョッパーも心地良いのかスピスピと寝息をたてながら眠っている。

 

 

「あら」

ちょうどそこに通りかかったのがロビンだ。

ロビンは、膝を折って二人の顔を覗き込んだ。

あまりにも気持ち良さそうなのでロビンは、ルフィの頬を人差し指で突っついてみた。

「ふふっ、柔らかい」

ルフィは、少し身じろいだが起きる気配はない。

ロビンは、改めて二人をみた。

チョッパーは、ルフィに抱きかかえられているので大丈夫そうだ。

だがルフィの頭は、固い板に無造作に置かれている。

「痛そうね」

ロビンは、ルフィの頭の近くで座ってルフィの頭を少しだけ持ち上げた。

それと同時にロビンは、直射日光を遮るように影に上手く移動した。

 

 

船は、ポカポカ陽気の中ゆっくりと進んでいる。

 

 

「んん〜」

暫くしてチョッパーが目を覚ました。

完全に目を覚ましていないのか、ぼんやりとしながら辺りを見回した。

「あっ、ロビン」

ようやくロビンに気がついたチョッパーは、ルフィを起こさないようにそっとルフィの腕から抜け出た。

「おはよう、チョッパー」

「うん、おはよう」

朝ではないが、やはり起きたら『おはよう』が一番しっくりくる。

チョッパーは、小さな体を伸ばしてルフィを見た。

ルフィは、いなくなった温もりを探すように手を少し動かしていた。

そんなルフィの髪をロビンは、細くて長い指で梳いていた。

穏やかな雰囲気の中チョッパーは、ちょこんと座りルフィとロビンを見ていた。

「なぁに?」

ロビンが穏やかに微笑む。

「足、しびれないのか?」

ロビンの太股にはルフィの頭が乗っていた。

それはいわゆる世間一般でいう膝枕だ。

「これくらい大丈夫よ」

「そっか」

「そうよ」

ロビンにつられるようにチョッパーも笑顔になる。

「あっ」

チョッパーがなにか思い出したのか声をあげた。

ロビンは、少し首を傾げてチョッパーを見た。

「俺、薬の研究の途中だったんだ」

研究の途中でチョッパーは、ルフィにいきなり抱き上げられ連れてこられたのだ。

「俺、行くな」

ロビンは、小さく手を振ってチョッパーを見送った。

 

 

少しだけ風が出てきた。

 

 

相変わらずのポカポカ陽気だが雲が少しだけ出てきた。

「んにゅ・・・あれぇ・・チョッパー?」

目を覚ましたルフィは、抱いて眠っていたはずのチョッパーがいなくなっていることに気がついた。

「ありゃ、ロビン」

ルフィが視線を上に向けるとニコニコと微笑んでいるロビンと目が合った。

頭には、柔らかい感触がある。

ルフィは、再度目を瞑って暫く考えた後、目を開き空に向かって腕を伸ばした。

「おはよう、ルフィ。よく眠れたかしら」

「おぅ!」

ルフィは、横になったままニカッと笑った。

そして暫くそのままでいた後、ルフィは起き上がった。

「膝、貸してくれてありがとなロビン」

「どういたしまして」

太陽の光を浴びて微笑むルフィは、ロビンの眸に少しだけ眩しく映った。

「ルフィ」

「なんだ?」

ロビンは、立ち上がってルフィと向き合った。

「いつでも膝、貸してあげるわ」

「おぅ、さんきゅー。その時はまた宜しくな」

「えぇ」

ルフィは、ロビンに眩しい笑顔を残してキッチンに走っていった。

 

雲が少し出てきているが、ポカポカ陽気は変わらない。

 

終了

平成201016