意味を問う

 

 

長身の毛根元気で骨だけアフロのブルックに突然、そう突然ルフィが問いかけた。

 

「生きる『意味』ってなんだ?」

 

あまりにも突然でルフィの口から出たとは思えない質問にブルックは、目を丸くした。

「目はないんですけどぉねぇ!」

「なに言ってんだ?そんなことより質問に答えてくれよ」

ルフィは、可愛らしく首を傾げながらブルックとの距離を縮めた。

 

ブルックは、なぜそんなことを問うのか、をルフィに聞かなかった。

 

「そうですねぇ。実際生きることにあまり『意味』は、ないように思いますよ」

ルフィは、首をグルンと回しながらもジッとブルックから視線を外さなかった。

「『生きる』よりも『生きてきたこと』に『意味』があると思うのです」

ブルックは、特有の笑い声を挟みながら話を続けていく。

「私は『生きてきたこと』によりルフィさんたちに出会った」

「うん」

「仲間もできて、ラブーンとの約束も守れるのです」

「うん」

 

仲間が死に、一人になったブルック

50年間もずっと一人暗い海を彷徨ったブルック

 

寂しくて、

孤独で、

 

だけど、約束のために生きてきたブルック

仲間の無き歌声を支えに生きてきたブルック

 

「私は『生きてきたこと』『生きていくこと』によって、これから更に大きな『意味』を知っていくのです」

ブルックは、杖に両手を重ねて置き地平線を見た。

それにつられる様にルフィもまた視線を地平線に移した。

「どうでしょう。ルフィさんの問いの答えになっているでしょうか?」

ヨホホホホッとブルックは、骨の手でアフロの頭を掻いた。

「どっちにしろ生きてないと『意味』なんて分からないってことだな、うん」

ルフィは、腕を組みウンウンと頷いた。

「そういうことです。まぁ私一度死んでるんですけどねぇ、ヨホホホホッ」

「うっし、ブルック」

「はい」

「一曲頼む」

「はい、喜んで」

そして、船には陽気でどこか切ない音が鳴り響いた。

 

終了

平成221026

ブルックは、もしかしてワンピースの中で一番年上なのではないのか、と思っている私です。

50年間も約束のために孤独に耐えるってすごいことですよ。

骨でわからないけど80歳はゆうに越えてるんですよぉ。

 

本当にルフィたちに出会えて良かったよ。