暇 わぴこ+葵+秀一
わぴこは、縁側に横になって高い空を往く雲を眺めていた。
「あの雲、美味しそう。」
流れる雲を何かに例えては、一人呟いていた。
葵も秀一も出かけていて今は、わぴこ一人だ。
「あ〜、あれお魚に見える。秋刀魚だぁ。」
グゥ〜タイミング良くわぴこのお腹が鳴った。
「焼こうかな。」
確か、冷蔵庫に秋刀魚があったはずだ。
七輪も炭も台所にあるはずだ。
「ん〜、でも無理。」
唐突に思い出した。
つい先日、わぴこはお魚を真っ黒にしてしまったのだ。
「あれ、苦かったし。」
一応食べてみる辺り、すごいと思う。
「葵ちゃんか秀ちゃんが焼いてくれた方が美味しいんだよね。」
早く帰ってこないかな、と思いながらわぴこは再度空に視線を移した。
ぴぃ〜ひょろろ〜
どこかでトンビが鳴いた。
「なんか、炊き込みご飯食べたいかも。」
なんで、どうしてそう思ったのかは謎だがわぴこは、お腹を擦った。
「お腹すいたぁ。」
わぴこが料理をすると後が大変なので葵と秀一から止められている。
なので待つしかないのだ。
「葵ちゃんに秋刀魚焼いてもらうんだ。」
それを想像してわぴこは、にんまりと笑った。
「秀ちゃんには、炊き込みご飯作ってもらうんだ。」
そして、涎を垂らしかけた。
「あ〜、早く帰ってこないかな。」
その頃、葵は近所の農家から大根と人参を貰っていた。
「確か、秋刀魚と七輪と炭あったよな。」
その頃、秀一は近所の主婦から茸類と山菜を大量に貰っていた。
「久しぶりに炊き込みご飯でも作ろうかな。」
家では、二人の帰りをお腹を減らした暇人が一人が待っている。
わぴこは、空をジッと眺めて雲の流れを追っている。
二人が帰ってくるまで、後数分。
終了