雷鳴 葵×わぴこ

 

 

縁側に座ってわぴこは、遠くの山を見ていた。

クンッと鼻を鳴らすと同時にわぴこは、後の畳に横になっている葵に声をかけた。

「葵ちゃん。」

「ん〜。」

「もうすぐ雨降るよ。」

「そうか。」

「それに雷鳴が聞こえる。」

わぴこは、重黒い雲を見つめながら耳を澄ます。

 

―――――ゴロッ

 

遠くで雷鳴が響く音は、わずかだが葵の耳にも届いた。

閉じていた眸をほんの少しだけ開いてわぴこを見る。

わぴこは、背中を向けていてその表情は見えない。

「わぴこ。」

葵が名を呼べば嬉しそうに笑いながら振り向いた。

「葵ちゃん。空が光ってるよ。」

その言葉と共に雨が一気に降り始めた。

「わぴこ、来い。」

葵が手招きすればわぴこは、縁側から四つん這いで葵に近づいた。

葵は、自分に被せていたタオルケットを捲り自分の横をポンポンと叩いた。

わぴこは、そのままそこに潜り込む。

「雷様にオヘソ獲られないようにしないとな。」

そして葵は、わぴこにタオルケットをかけてそのまま抱き締めた。

「うん。」

わぴこは、葵に擦り寄りそのまま眸を閉じた。

 

雨音も雷鳴も入る隙間のないほどピッタリと抱き合って二人は眠りについた。

 

きっと、起きたら橙色の夕焼けが二人を包み込んでいるだろう。

 

 

終了