音のない森 6
身を屈め 泣いていた 音も無い この深い森に怯えて
耳を塞ぐと 確かな鼓動だけ聞こえた
俺が笑いかけても笑ってくれない。
俺が挨拶をしても挨拶を返してくれない。
貰えるのは『蔑み』と『暴力』そして『虚無感』
あぁ、
でも、
時々、本当に時々だけど『幸福感』も貰える。
期待しては、いけないとそう強く思う。
きっと、誰もが俺のことが疎ましいんだ。
そう思うことで精神の均衡を保っている。
『認められたい』
とか
『仲良くして欲しい』
とか
そんなことを思うことさえ許されないのかな?
その問いに答える者はなく、音の無い森に俺は包み込まれる。
知ってる。
願っても祈っても無駄なんだ。
どんなに笑っても行動を起こしても誰も俺を見ない。
知ってる。
知ってるんだ。
だから、俺は求めてる。
笑顔が優しいことも、
俺を無視しないでいてくれることも、
知ってる。
だけど、駄目なんだ。
求めているはずなのに知っているはずなのに、駄目なんだ。
結局、逃げているのは俺だから。
何も聞こえないこの森で俺は、ゆっくりと耳を塞いだ。
寂しいね。
一人は、寂しい。
耳を塞いだまま身を屈めた俺の頬に寂しい気持ちが流れた。
一人は、嫌なんだ。
暫くして、俺は耳を疑った。
聞こえるんだ。
確かに聞こえている。
それは『鼓動』だった。
どんどん近づいてきている。
今まで、この森で意図的に自分に近づいてくる者などいなかった。
俺は、どうする?どうなる?
続
ナルトは、自分の感情を表に出せない性分なのでしょう。
本当の自分を曝け出せる相手がいないと言った方がいいのかもな。
偽りの自分を積み重ねてどんどん、どんどん重くなっているんだろうな。
軽くしてやれ、シノ。